大阪のシネ・ヌーヴォで、「リム・カーワイ監督特集 シネマ・ドリフターの無国籍四部作」が開催中。12月17日(土)には、『FLY ME TO MINAMI 恋するミナミ』のトークイベントが開催され、リム監督、製作総指揮の加藤順彦さん、映画コラムニストで同作の予告編を手掛けた田中泰延さんが登壇した。
リム・カーワイ監督はマレーシア出身。「シネマ・ドリフター」として、様々な国を旅しながら映画を制作している。
今回のシネ・ヌーヴォでの特集上映では、リム監督の最初の長編作品『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』(2009年)、香港のムイオ島を舞台にした『マジック&ロス』(2010年)、北京と大阪の新世界で撮影した『新世界の夜明け』(2011年)、そして大阪・ミナミで制作された『FLY ME TO MINAMI 恋するミナミ』(2013年)の4作を一挙に上映している。
『FLY ME TO MINAMI 恋するミナミ』(2013年、103分)は、心斎橋、道頓堀、アメリカ村など、大阪・ミナミを舞台に、日本・香港・韓国を行き来する恋の物語だ。ある年のクリスマスから年末、年始にかけての2組の男女の恋愛模様を描いている。戎橋、三角公園など、ミナミの定番スポットも多数登場する。毎年シネ・ヌーヴォでこの時期に、アンコール上映を行ってきた。
今回のトーク企画では、リム監督と、同作の製作総指揮をつとめた加藤順彦さん、「田中泰延のエンタメシン党」などを手掛ける映画コラムニストで、同作の予告編を制作した田中泰延さんが登壇。3年前に制作された同作のエピソードを語った。
当時、尖閣・竹島問題が起きて、中国・韓国からの観光客が減少、それを受けて加藤さんはリム監督と、「大阪を中心にアジアを結ぶ映画を作ろう」と決意したという。「特別なことはなく、あくまで日常の延長線のような映画。観ることで、中国や韓国をより身近に感じてくれたら」と話す加藤さん。リム監督は、現在は大阪・道頓堀に多数の観光客が見られるようになったことについても触れ、「この映画のおかげだと思う」と話し、笑いを誘った。
予告編を作るために100回ぐらい観たと語る田中さんは、「映画の前半は縦の動きが多いが、ラストは横の動き。縦はまだ人間と人間の間に距離があるけど、やはりより近しい距離感の横の動きになっていく」と気づいた点に言及する。
また、恋愛映画である面についても語るリム監督。同作で夫婦役を演じた竹財輝之助さんと藤真美穂さんが実際に結婚したことなど、何組かの恋愛・結婚がこの映画から生まれていることを受けて、「縁結びとしても良い映画」とPR。
「1回観るだけでも楽しいけど2回観るとより楽しい。3回観ると幸せになれるのでぜひ」と呼びかけた。
途中、観客からの質疑応答も行われ、作中の楽曲などについてのエピソードが紹介された。
クリスマスはクリスマス、正月は正月、初日の出は初日の出にちゃんと撮っているという話も披露された。
最後には、今大阪での新たな映画制作を考えている、とリム監督が発表。『新世界の夜明け』『恋するミナミ』と合わせて「大阪3部作にしたい」という意欲を見せた。
「リム・カーワイ監督特集 シネマ・ドリフターの無国籍四部作」は、12月30日(金)まで大阪・九条のシネ・ヌーヴォで開催中。
『FLY ME TO MINAMI 恋するミナミ』は12月23日(金)の19時20分から、『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』『マジック&ロス』『新世界の夜明け』は、12月24日(土)から30日(金)まで上映予定。
料金は一般=1,200円、シニア=1,100円、学生・会員=1,000円。
ちなみにシネ・ヌーヴォは、12月19日(月)から22日(木)まで、改装工事のため休館。
『FLY ME TO MINAMI 恋するミナミ』予告編 |
詳細情報 |
■上映日程 ・12月17日(土)・18日(日)・23日(金) 19時20分~ 『FLY ME TO MINAMI 恋するミナミ』 ※12月19日(月)~22日(木)は改装工事のため休館 ・12月24日(土)~30日(金) ■料金 ■映画館 ■サイト |