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文学・映画・音楽が融合 林海象監督作『彌勒 MIROKU』が神戸へ

生演奏を合わせて映画を上映する「フィルムオーケストラバージョン」で話題となった林海象監督作『彌勒 MIROKU』(永瀬正敏さんら出演)が、京都に引き続き、デザイン・クリエイティブセンター神戸KIITOでも上映される。


『彌勒 MIROKU』主演の永瀬正敏さん

京都発、異例の「演奏付き映画」が、神戸にやってくる。

『彌勒 MIROKU』は、小説家・稲垣足穂の同名小説が原作。
自分たちの将来を夢みる13歳の少年・江美留(えみる)と友人たち。みなが科学者や詩人を目指す中、1人の友人が自殺してしまう。悩みながら小説家になることを決断する江美留。だが青年となった彼は、極貧の生活の中にいた。そこに鬼が現れ、「おまえの目指す人間は何か?」と問いかける・・・という物語。

『夢見るように眠りたい』『私立探偵 濱マイク』などで知られる林海象監督がもともと稲垣足穂文学の大ファンであったことから、遺族に映画を作りたい旨を相談し、快諾を得たという。その後10年以上あたためていた企画だ。
現在林監督が教鞭をとる京都造形芸術大学では、5年前より「北白川派映画芸術運動」というプロジェクトを実施。これはプロと学生が現場をともにしながら、プロの俳優たちと劇場公開用映画を作る、というもので、昨年は高橋惠子さん主演の『カミハテ商店』が制作された。今回の『彌勒 MIROKU』は、同プロジェクトの第4弾となる。

彌勒
『彌勒 MIROKU』

第一部の少年編では、京都造形芸術大学の学生らが中心となり、夢を追う輝いた少年時代を熱演。第二部では、青年江美留役の永瀬正敏さんをはじめ、佐野史郎さんや井浦新さんら実力派俳優らが人生の命題を問いかけていく。

彌勒
『彌勒 MIROKU』

以前から林海象監督が永瀬さんにも話していたという『彌勒 MIROKU』の企画。最初台本などを見たとき、世界観が難しく感じたという。だが林監督から「難しく考えなくていいんだ、シンプルなことなんだ」というヒントをもらい、演じることができた。
永瀬さんは「セリフ回しは稲垣足穂の原作そのまま。観た人も一見、難しく感じてしまうかもしれません。でも本当はすごくシンプルな話なんです。誰しもが小さい頃は理想に燃えていた。将来像がちゃんとあった。でも全員がそこに行きつけない。第二部はその葛藤を描いているんです。だから、誰にも当てはまる話だと思います」と話している。

彌勒
『彌勒 MIROKU』

また、学生との共同制作について永瀬さんは「すばらしかった。動きがプロフェッショナルだった」と絶賛。映画自体についても「いたるところに林海象マジックが散らばめられている作品。生演奏付きという試みもユニークだし、ぜひいろんな人に鑑賞してもらいたい」と呼びかけている。

彌勒奉納
6月に行われた下鴨神社での奉納上映

映画『彌勒 MIROKU』は、京都文化博物館と京都芸術劇場で、フィルムオーケストラバージョンを上映。今後は8月10日(土)にデザイン・クリエイティブセンター神戸KIITOで公開される。また今年秋以降は、通常の映画バージョンも京都シネマをはじめとする各地の映画館で上映予定。 

京都から始まったあらたな映画の試みと、文学・音楽・映画の融合をぜひ目撃したい。

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詳細情報
上映日程 京都文化博物館
 7月20日(土) ※終了しました

京都芸術劇場
 7月21日(日) ※終了しました

デザイン・クリエイティブセンター神戸KIITO
 8月10日(土)

京都シネマなどで秋以降公開予定

上映場所 デザイン・クリエイティブセンター神戸KIITO
神戸市中央区小野浜町1−4、TEL 078-325-2201)

京都シネマ
京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620番地、TEL 075-661-3993)

サイト 『彌勒 MIROKU』公式サイト
http://0369.jp/
神様に映画を観てもらう 下鴨神社で『彌勒』奉納上映【キネプレレポート】
http://www.cinepre.biz/?p=6230
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