自費でアート作品を数千点収集したハーブ・ドロシー夫妻が、全米の美術館に寄贈していく様子を描いたドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』が、梅田ガーデンシネマ・なんばパークスシネマなどで順次上映される。
「夫妻のアートへの思いをぜひ感じてほしい」と話佐々木芽生監督 |
「自費で膨大なアートを収集した」ことで有名になった夫妻の、アートに賭ける最後の情熱を堪能したい。
『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』(2013年、87分)は、前作『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』(2008年、87分)と同じく、ニューヨーク在住のアートコレクター夫妻である元郵便局員ハーブと図書館司書のドロシーが主人公のドキュメンタリー映画。
彼らは豊かではないその生活の中、自費でアート作品を買い集め、自分たちのマンションに収蔵。その数は5,000点以上に及び、全米で多くの話題となったという。前作ではそのアート収集の模様と、そのすべてをアメリカ国立美術館に寄贈するまでを描き、ヒットを記録。多くのメディアがとりあげる中、全国50カ所以上で上映が行われた。
今作は、前作のその後を追った、いわば“完結編”とも言える作品。さらに増えていく2人の収蔵品が国立美術館で収蔵しきれなくなったため、全米50の美術館に50点ずつ、計2,500点を贈るというプロジェクトが始動。いろんな美術館を巡ってその展示の様子を紹介しながら、各美術館のアートに対する取り組み方、アーティストたちの作品やこの夫妻に対する思い、そして夫妻のアートに対する情熱をカメラに収めている。
(c)2013 Fine Line Media,Inc. All Rights Reserved. |
また同作はクラウドファンディングの活用でも知られている。2011年にはアメリカの「Kickstarter」というサービスを利用し、730人から8万7千ドル以上の資金援助を得ることに成功。それ以降今作を日本で上映させるための資金として、「motion gallery」で1,000万円の資金提供の呼びかけを行った。結果として900人を超える多くの賛同者が集い、1,400万円以上の支援を達成。現在3月末以降の全国公開に向けて、大きく動き出している。
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監督は、前作と同じく佐々木芽生さん。NHKのニュースディレクターなどテレビ番組の制作に従事し、世界中を飛び回っていたが、2002年に自身のプロダクションを設立して独立。前作『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』が初の監督・プロデュース作品となる。
佐々木さんは本作でいろんな美術館が出てきたことについて「たくさんのギャラリーをめぐっていくロードムービー的な側面もあるので、そういう気分で楽しんでほしい」と話す。撮影していく中で、それぞれの地域のアートへの取り組み方を知って感動したといい、「人がいるところにアートあり、だと思いました。アートが好きな人たちは地球の隅々までたくさんいる。そういう人たちの情熱も見てもらえたら」と期待を寄せる。
「この夫妻もだけど、私たちもどんどん亡くなっていきます。でもアートは、次世代の子どもたちやそのあとまでずっと残っていくと思います。その大事さを伝えていきたい」とも話している。
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世界屈指のアートコレクションを築きながらも、すべて売ることなく美術館に寄贈した夫妻の軌跡を見ながら、アートを愛する人たちのさまざまな考えに触れてほしい。
『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』は3月30日(土)以降全国順次公開。関西では梅田ガーデンシネマ、なんばパークスシネマ、神戸アートビレッジセンター、京都シネマで上映予定。
■予告編
■上映日程
・3月30日(土)~
梅田ガーデンシネマ、なんばパークスシネマ
・4月13日(土)~
神戸アートビレッジセンター
・近日
京都シネマ
■映画館
・梅田ガーデンシネマ
(大阪市北区大淀中1-1-88梅田スカイビルタワーイースト4F、TEL 06-6440-5977)
・なんばパークスシネマ
(神戸市兵庫区新開地5-3-14、TEL 078-512-5500)
・神戸アートビレッジセンター
(大阪市浪速区難波中2-10-70 なんばパークス8F、TEL 06-6643-3215)
・京都シネマ
(京都市下京区烏丸通四条下る西側COCON烏丸3F、TEL 075-353-4723)
■サイト
『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』公式サイト
http://www.herbanddorothy.com/jp/