想田和弘監督最新作『演劇1』『演劇2』の公開に合わせ、神戸アートビレッジセンターで11月16日(金)、平田オリザさんと想田監督のトークイベントが行われた。
自在な話題で会場をわかせる平田さん(写真右)と想田監督 |
『演劇1』『演劇2』は、合計5時間42分のドキュメンタリー映画。青年団とその主宰平田オリザさんに焦点を当てた大作だ。『演劇1』では、青年団の舞台や活動に密着。平田さん独自の演劇論を緻密に描いている。一方『演劇2』は、「演劇をどう続けていくか」「演劇を世界に認めてもらうためにはどうすればいいか」がテーマの作品。
同作の人気を反映し、また平田オリザさんが来阪されることもあって、70人以上の人が来場。若者から高齢者まで、さまざまな年齢層の人が集った。
『演劇1』上映後のトークショーだったことから、想田さんが「観た人はどれぐらいいますか」と聞くと、大半の人が挙手。平田さんが「私の顔を3時間見たあと、さらにこうやって見ていただくなんて恐縮」と話し、会場の笑いを誘った。
映画が完成してからは話す機会が増えたが、撮影している間はほとんど話すことがなかった、という2人。今回は、2008年から2009年にかけての撮影について、映像には映りこんでいない裏話をここぞとばかりに披露した。
多くの観客が2人の話に聞き入った |
トークが進むと、平田さんが16才で世界を自転車で旅行したというエピソードや、その時に執筆した長いタイトルの処女作(注)の話も飛び出した。その後話題は、最近出版した初小説『幕が上がる』(講談社)の執筆秘話に。「演劇に興味を持ってくれる人たちを増やしたかった」と、『演劇2』でも描かれている自身の活動の一環として出版したことを明かした。
「自分の書いた戯曲を人に演じてもらうのがすごく楽しい。年をとりいろんなことに慣れてきても、舞台だけはいつもドキドキする。だからずっと続けている」と話す平田さん。演劇の技術や精神論について熱く語る平田さんのトークに、多くの観客が聞き入っていた。
撮影時の裏話を披露する想田監督 |
『演劇1』『演劇2』は、大阪・第七藝術劇場と神戸アートビレッジセンターで公開中。12月8日(土)からは京都シネマでも公開される。
(注)タイトルは『十六歳のオリザの未だかつてためしのない勇気が到達した最後の点と、到達しえた極限とを明らかにして、上々の首尾にいたった世界一周自転車旅行の冒険をしるす本』。『ドン・キホーテ』の一節よりとったという。
■サイト
『演劇1』『演劇2』公式サイト
http://engeki12.com/
平田オリザ描いた『演劇』 想田和弘監督の大作、関西に 【キネプレ記事】
http://www.cinepre.biz/?p=2422
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