劇作家・平田オリザと青年団を取材した想田和弘監督のドキュメンタリー映画『演劇1』『演劇2』が、大阪・十三の第七藝術劇場で公開される。10月27日(土)から。
『演劇1』『演劇2』を監督した想田和弘さん |
世界的にも評価の高い劇作家と映画監督の2人が邂逅した話題の大作ドキュメンタリーが、とうとう関西にやってくる。
想田和弘さんはニューヨーク在住のドキュメンタリー監督。自民党の“小泉チルドレン”が出馬する様を描いた『選挙』(2007年)を皮切りに、タブーと言われていた精神科にカメラを向けた『精神』(2008年)など「観察映画シリーズ」を発表し続けている。
今作『演劇1』『演劇2』は、世界的に活躍の場を広げる劇作家の平田オリザさんと、その劇団「青年団」に密着した。2本合わせて5時間42分という大作だが、「それだけの価値は十分にある作品」と第七藝術劇場の担当者は胸を張る。
(C)2012 Laboratory X, Inc. |
もともと演劇に関心の薄かったという想田監督だが、ニューヨークで観劇した平田さんの作品『東京ノート』の「現実世界を再現した精密な演劇」に強い衝撃を受けたことから、興味を抱いたという。その後も平田さんの他の作品や著書をひもときながら、「彼らの制作現場を観察してみたい」と思ったそうだ。
そして2008年に想田さんは平田さんに取材を申し込み、本作が実現。2008年7月から2009年3月まで延べ約60日間密着し、撮影を行った。
(C)2012 Laboratory X, Inc. |
「最後に、2作品に分けるべきだと決断した」と話す想田監督。「とても1本にはまとめられない」と感じたという。『演劇1』には、平田さんが実践する演劇の手法や哲学、また青年団の実際の公演の様子を盛り込んだ。「平田オリザの世界を徹底解剖しようとした」と想田さんは話す。
『演劇2』ではうって変わって、興行、助成金、他の行政や組織、教育機関との提携といった、「演劇を支えるための活動」にスポットライトが当てられている。「2で描きたかったのは『平田オリザと世界』。演劇と社会との関係を問う作品になった」という。
(C)2012 Laboratory X, Inc. |
大きなアクションをとる通常の演劇と違い、日常の雰囲気を淡々と描き「静かな演劇」と呼ばれる平田オリザさんの作品。その空間を作り出すための技術を、カメラはどう切り取ったのか。そして演劇という文化を、どういう形で世界に発信していこうとしているのか。その一端が分かるドキュメンタリーに仕上がっている。
本作への思いを語る想田さん |
『演劇1』『演劇2』は、第七藝術劇場で10月27日(土)から上映開始。11月10日(土)から神戸アートビレッジセンターでの上映も予定している。
想田和弘監督が描く「観察映画」の最新作にして、話題作。演劇に興味のある人、ドキュメンタリーを好む人だけでなく、文化に少しでも関心のあるすべての人に観てもらいたい大作だ。
※キネプレでは、想田和弘監督のロングインタビューの掲載を予定しています。
しばらくお待ちください。
■予告編
■上映日時
10月27日(土)〜
■映画館
第七藝術劇場
(大阪市淀川区十三本町1-7-27 サンポードシティ6階 、TEL 06-6302-2073)
■サイト
『演劇1』『演劇2』公式サイト
http://engeki12.com/
第七藝術劇場
http://www.nanagei.com/
内田樹・想田和弘・小暮宣雄が「文化」論トーク【キネプレレポート】
http://www.cinepre.biz/?p=1537